不登校でもオンライン学習(ICT)で出席扱いに。要件や勉強の仕方とは

専門家に聞く

不登校

2020/01/16

「小・中学校において不登校であっても特定条件を満たせばIT等を駆使したオンライン学習を家庭で行うことによって出席扱いになる」という制度はご存知でしょうか?

学校側も保護者側も認知度が低いためか、まだまだこの制度の利用者数は少ないようです。

不登校であっても自宅できちんと学習し、きたる受験に備えている生徒も今はたくさん存在します。でも、中には出席日数が足りないことが気になる中学生や保護者の方も多いかもしれません。

そこで今回は、自宅でも学べるオンライン学習教材で知られる「株式会社すららネット」を訪ね、広報の北村さんにこの制度について話を聞いてきました。

不登校生徒の出席扱いをめぐる現在の状況

株式会社すららネット 北村さん

2005年から施行されたこの制度ですが、2019年までの時点で出席扱いとなったのは286人にとどまっているそう。2018年度の全国の不登校児童生徒の人数が16万人(全体の1.7%)を超えたことを考えると、学校側でも保護者側でも制度の認知度がまだまだ低く、利用者が少ないようです。

文部科学省ではこの状況を打破するため、2019年10月に「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」を各都道府県の知事や教育機関に通達しました。

「私たち『すらら』の教材は無学年式ということもあり、不登校の児童や生徒さんに愛用いただくケースが多いため、制度を周知するためのセミナーや、要件を満たすためのサポートを2017年から行っています」と北村さん。

では、実際に出席扱いとするために必要な要件7項目について見ていきましょう。

参考:不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

出席扱いとするための7つの要件とは?

まず、要件は下記の7つとなっています。

  1. 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
  2. ICTや郵送、FAXなどを活用して提供される学習活動であること。
  3. 訪問等による対面の指導が適切に行われること。
  4. 学習の理解の程度を踏まえた計画的なプログラムであること。
  5. 校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること。
  6. 学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること。
  7. 学習活動の評価は、計画や内容を学校の教育課程に照らし判断すること。

上記要件について、項目ごとにやるべきことをもう少し詳しく確認していきましょう。

1.保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
まずは学校の担任の先生に保護者側から相談しましょう。この制度のことをまだまだ学校が知らない場合が多いため、出席扱いとなる制度があるということを説明し、協力をあおぐことが必要となります。

2.ICTや郵送、FAXなどを活用して提供される学習活動であること
現在はさまざまな通信教育のプログラムがあり、自宅学習の手段を選ぶことができます。

3.訪問等による対面の指導が適切に行われること
文部科学省の指針では最終的に学校へ復帰することが目的となっているため、対面指導が必要です。現在は学校によってスクールカウンセラーや保健室、適応指導教室などもありますが、まずは担任の先生に相談しましょう。

4.学習の理解の程度を踏まえた計画的なプログラムであること
文部科学省の学習指導要領に対応した学習プログラムを選択する必要があります。

5.校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
校長先生が確認するために、学習履歴が何らかの形で記録が提出できるようにする必要があります。1日の学習時間や、達成状況など、どのような記録を必要とするかは学校との相談で取り決めます。

6.学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること
親子で十分に相談を行い、自宅で学習をした方が良いか検討してください。人と会うこと自体がストレスな場合は自宅学習をオススメしますが、必ずしもそうでない場合は教育支援センターやフリースクールなどの選択肢も存在します。

7.学習活動の評価は、計画や内容を学校の教育課程に照らし判断すること
選択する学習方法によって異なりますが、学校側と協議を行う必要があります。教育委員会や校長先生の判断による部分も大きいようです。

要件を満たすための大事なポイントは?

「特に項目5(校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること)に関しては、保護者やお子さん自身が学習履歴を記録するのに大変な労力が発生します。
『すらら』では学習管理画面によっていつでも情報を共有し、出力することができるので、学校側への説得材料として役立てて頂いています」(北村さん)

続けて要件を満たすための大事なポイントをうかがうと、

「保護者が本人の気持ちをくんだ上で、担任の先生や校長先生とコミュニケーションをとって積極的に相談できるかがキーになってくると思います」

とのこと。
いずれの項目も自治体や学校によって求められることが変わるようです。学校も対応した例がないことも多いため、十分に話し合い、協力を呼びかける必要があるようです。

高校受験のためだけではない。出席扱いの大切さ

不登校の児童生徒の自宅学習として導入事例が多いという『すらら』。
利用者である不登校の生徒さんたちにとって出席扱いになるということは、受験時の心配が減るだけでなく自信にも繋がっているのだと北村さんは言います。

「学習した成果を出席という形で評価され、目標を達成できたことが大きな自信につながったという声がよく聞かれます。学校から認めてもらえたという実感が、将来の進路にポジティブに働けば嬉しいですね。そして、この制度がもっと普及していけば、不登校の頭文字『不』というマイナスイメージも、近い将来、完全に払拭することもできるのでは、と願っています」

また、通信制高校の中にも「すらら」の教材を導入している例があるそうです。ICTによって学び方のスタイルにも多様性ができ、選択肢が広がっていく。そんな時代に来ているようですね。

取材協力・資料提供

株式会社すららネット

2008年設立。ゲーミフィケーションを応用した対話型アニメーション教材「すらら」の研究・企画・開発を行う。「すらら」を活用した学校・学習塾向けコンサルティングも。近年では自宅学習用教材としても活用され、保護者向けのカウンセリングも。

<取材・文/中島理>

この記事を書いたのは

中島理

1981年、北海道生まれ。バーテンダー・会社員を経てライターへ転身。ムックを中心に編集や執筆に携わる。引きこもり経験を持ち、若年層の進学・就労にまつわる心の問題に関心。