2025/08/21

高校生からの海外留学リスタート、不登校でも本当に大丈夫?

不登校 

不登校の背景はさまざまですが、学校の雰囲気や集団生活になじめないことが一因となっているケースも多く見られます。全員が同じことをできなければならない雰囲気や、学力偏重の傾向、多様性が認められづらい風土などを、ストレスに感じている生徒も少なくありません。

そうした生徒たちの中には、日本ではなく海外の学校で学ぶことを選択する人もいます。ただ、不登校からいきなり海外の学校に通うことには、当然不安を感じる人も多いでしょう。

そこで今回は、主に不登校の生徒を対象とする「リスタート留学」として、中学生・高校生の留学をサポートしているWSOセンターを取材しました。
1991年の創業以来、延べ2500名以上の中学・高校留学をサポートしており、その中で不登校の生徒は2000名以上。
どのような生徒が海外留学に向いていて、その先にどのような進路が広がっていくのでしょうか。日々さまざまな生徒たちと向き合っている当センターの清水雄太さんに、詳しく伺ってみました。

環境を変えて学び直したい生徒を手厚くサポート

—— まず、留学を希望する生徒たちは、留学にどのようなことを期待しているのでしょうか。

清水さん:コロナ禍前までは、保護者主導で「新しい環境でリセットしてほしい」と訪れる家庭が多かったんです。ただ、最近はSNSなどを通じて生徒自身が海外留学に興味を持って来ることも増えてきました。
留学を希望する理由はさまざまですが、たとえば進学校で勉強についていけなかったり、先生や友人との人間関係が悪化したりしたことで不登校になり、将来を見すえて違う環境で学びたいと考える人もいれば、新しい環境に身を置くことで自分を変えたいという人もいます。半数以上は、今通っている学校や日本の教育文化、雰囲気が合わないという生徒ですね。

—— 中でも、どのような生徒が海外留学に向いていると感じますか?

清水さん今の状況を何とかして変えたいと思っている生徒にはチャレンジしてほしいと思います。不登校の生徒の多くは、親以外に頼れる大人が周囲にいないケースが多いのですが、WSOセンターでは留学前からしっかり面談を繰り返して手厚くサポートしていきますし、現地でもスタッフがサポートします。
親身になって向き合ってくれる大人がいるというだけでも、安心して前に進むことができるのではないかと思います。

—— 向いていないと感じる生徒もいるのでしょうか。

清水さん:本人が行きたくないのに保護者の強い要望で、というケースは難しいと思います。ムリに行かせても、現地で少しうまくいかないことがあればその生徒にとっては留学は失敗経験となりかねません。「やっぱり自分はダメなんだ」と、逆効果になってしまう可能性があります。
ただ、最初は乗り気でなくても、当センターで面談を重ねていくうちに「行ってみたい」という気持ちになる生徒もいますので、まずは気軽にお問い合わせしていただきたいですね。

—— 不登校の生徒の中には、健康面で問題を抱えている生徒もいると思いますが、その場合も大丈夫なのでしょうか。

清水さん:既往症のある生徒は、程度によっては難しい場合もあります。摂食障害や起立性調節障害、発達障害、あるいは自傷行為の経験がある生徒でも留学するケースはありますが、健康面で著しく不安がある場合や、日常生活や周りとのコミュニケーションに支障を来すような場合だと、留学はちょっと難しいですね。

—— 何かしら問題を抱えていて、自分は行けるのかどうか不安だという場合も、一度相談してみるとよいですね。

清水さん:はい。留学前に対面でいろいろお話をしながら、一緒に考えていければと思っています。

海外の学校を卒業して、次の進路につなぐ

—— 実際に留学するまで、どのように準備を進めていくのでしょうか。

清水さん:まずは当センターに来ていただいて面談を重ねます。その中で希望を聞いて、行き先を決めていきます。WSOセンターからはニュージーランドに留学する生徒が最も多いですが、カナダやイギリスを選ぶ生徒もいます。金額面でも違いがあるので、ご家族ともじっくり相談しながら決めていきます。

—— 金額としては、どれくらいかかるものなのでしょう。

清水さん:国によって、あるいは公立の学校に行くか私立の学校に行くかによってもかなり変わってきます。ニュージーランドやカナダの公立の学校だと年間400万円程度から行けますが、欧米や私立の学校だと800万円以上になることもあります。すべて学校の費用・宿泊費と食費・その他生活等に必要な費用と、現地でのサポート料などを含めた料金となりますが、行き先によって本当にさまざまなので、面談を通じて合うところを選んでいければと思います。

—— 留学する前に、現地の学校の授業についていけるように、英語などを勉強しておいたほうがいいのでしょうか。

清水さん:当センターでも準備期間に英語のレッスンを受けることができますが、ただ、そんなに一生懸命勉強しなくても大丈夫です。日本の授業の内容と海外の授業の内容は違いますし、本当にリセットする気持ちで、現地でイチから学んでもらえればよいと思っています。

—— 留学の間は、どこに宿泊するのでしょうか。

清水さん:ホームステイとなります。学校が近隣の家庭とホームステイ受け入れの契約をしているケースが大半で、こちらの希望を伝えて学校がマッチングしています。WSOのスタッフも、学校内で生徒と面談をするなど、学校ともしっかり連携していますから、学校のことやホームステイ先のことで何か困ったことがあったらスタッフに相談することができます。

—— それなら安心ですね。メインは短期留学ではなく、現地の学校を卒業するまで通うということになるのでしょうか。

清水さん:当センターでは短期留学も手がけてはいるのですが、「リスタート留学」では留学経験を成功体験として、その先の進路も合わせてサポートしていくので、基本的には現地での学校を卒業することが目標となります。
大学進学を考えると、日本の大学で帰国生入試を受ける場合には現地で2年以上学校に通っていることが条件になるため、たとえば高校3年生からの留学だとしても、そこから2年間通うケースが多いです。

—— リスタート留学の他にはどのようなプランがあるのですか?

清水さん:当センターの留学形態は「リスタート留学」→「スキルアップ留学」→「帰国生入試留学」とステップアップしていきます。生徒の能力によってもスタート地点が違いますが、能力が高くても学校復帰が優先の場合にはリスタート留学から始まります。真のリスタート留学は高校卒業後の進路が決まるまでのサポートになるため、年単位でのサポートになります。 ただし、長期の留学に適正があるかわからない場合には、短期からの「ワンターム留学」や「ショートターム留学」もあります。

—— 留学して現地の学校を卒業してからの進路もサポートしてもらえるんですね。

清水さん:はい。当センターのホームページには「WSO卒業生の合格実績」として主な合格大学も掲載しています。留学した後は、ほとんどの生徒が日本の大学に進学しています。難関大学、有名大学にもたくさんの生徒が合格しています。

現地での失敗も次へのステップになる

—— 日本で不登校だった生徒は、海外では普通に学校に通えるようになるものでしょうか。

清水さん:日本の進学校で不登校になり、ニュージーランドに留学した生徒が、コロナ禍の影響もあって留学先でも不登校になって退学してしまったケースがありました。しかし、また現地の別の学校に転入して無事に卒業できました。
新しい学校では積極的に学ぶようになり留学生リーダーとして活躍してくれたんです。一度失敗をしたことで「次はこうすればうまくいく」と学んで、成長につながったのだと思います。

—— 日本を離れれば何もかもうまくわけではないけれど、リスタートは何度でもできるし、そのたびに大きな学びが得られるのかもしれませんね。

清水さん:また、ストレスから過敏性腸症候群となり日本の学校で不登校になった生徒が、留学先ではその症状が出なくなったというケースもあります。

—— 不登校の原因を自分でもはっきり言語化できない生徒は多いですが、今の環境で何らかのストレスがかかっている場合には、まったく違う環境に身を置くことで体調が回復できる場合もあるんですね。

清水さん海外に行けば過去の自分を知っている人はいませんから、友人関係に自信がなかった子でもすんなり馴染んでいくことも多いんです。同じWSOセンターから留学した生徒同士で通じ合い、仲良くなることもあります。

—— 最後に、海外に興味のある不登校の中学生・高校生にメッセージをもらえますか。

清水さん:まずは今、周りに助けてくれる大人がいないと感じていたり、何かを変えたいと思っていたりするなら、ぜひ当センターに来ていただき、お話しできればと思います。海外留学と言われても、最初はイメージがわかずに不安になるのは当たり前なので、じっくり一緒に考えていきましょう。
また、保護者のみなさんには、子どもは大人が思っている以上にポテンシャルが高いので、子どもを信じて本人に考えたり行動したりするチャンスを与えていただきたいと思います。

—— ありがとうございました。

取材先

WSOセンター(WSO株式会社)清水雄太さん

清水雄太さん/WSOセンター(WSO株式会社)

URL:https://www.wso-centre.com/

お問い合わせ:0120-263-631(フリーダイヤル)

資料請求:https://www.wso-centre.com/pamphlet/

Instagram:https://www.instagram.com/wso_centre_restart_ryugaku_/

<取材・文/大西桃子>

この記事を書いたのは

大西桃子
ライター、編集者。出版社3社の勤務を経て2012年フリーに。月刊誌、夕刊紙、単行本などの編集・執筆を行う。本業の傍ら、低所得世帯の中学生を対象にした無料塾を2014年より運営。
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