2026/05/26

通信制だからこそ見つけた道!高校生で難関資格合格

先輩に聞く 

通信制高校の大きなメリットのひとつは、自分で時間を管理しやすいことです。
登校日数が比較的少ないため、学校の勉強だけでなく、自分が打ち込んでいることやアルバイトなどに時間を使いやすい環境があります。

「通信制高校に転校したら、進学で不利になるのでは」
「将来の選択肢が狭まるのでは」

そんな不安を抱える保護者や生徒は少なくありません。
しかし、そのシステムを活かして、スポーツや芸術、芸能、プログラミングなど、専門分野での力を伸ばして将来につなげていく生徒もいます。

今回は、通信制高校在学中に日商簿記1級の資格を取得し、さらなる目標に向けて大学に進学した朝倉将太さん(現・大学4年生)にインタビュー。資格取得のための勉強をどのように進めてきたのか、そこからどのように道が開けていったのか、詳しく伺いました。

私立の全日制高校から公立の通信制高校へ

—— まず、通信制高校を選んだ経緯を教えていただけますか。

もともとは中高一貫校に入学して、前期課程を3年で修了し、県内の全日制の私立高校へ入学しました。しかし高校1年生のときに体調を崩して、欠席が多くなってしまい、2年に進級ができなくなってしまったんです。もう一度同じ学校で1年生をやり直すこともできたのですが、違う環境で、かつ体調に合わせて通いやすい高校を選びたいと思い、公立の通信制高校に1年生から転入しました。

—— 当時、通信制高校にはどのようなイメージを持っていましたか?

家からも近く、自分のペースで通えるところはよいと思ったのですが、最初は「ヤンキーや素行の悪い生徒が多い」というイメージがあって不安も感じていました。ただ、登校は週2回で、他の生徒と関わる機会は少なく、先生より年上の女性の生徒もいたりして、想像していたような悪い雰囲気ではなく安心しました。

—— 全日制の私立高校からのギャップは感じませんでしたか?

以前は学校に行けば決められた時間割どおりに授業が始まり、決められた勉強をしていればよかったところ、通信制高校は自学自習が基本です。そのため、1年生の1学期はリズムを作るのに苦労しました。ただ、以前通っていた中高一貫校が進学校で、授業の進みが早く、中学3年生で高校の学習範囲を前倒して学習していたため、勉強自体にはそれほど苦労しませんでした。入ったばかりの頃に苦痛を感じていたのは、周りからの視線でしたね。今では通信制高校は広く知られてきましたが、私が入学した6年前だと、親世代では「問題児が行くところ」と思っている人もまだ多く、肩身が狭い思いをしたこともあります。ただ、資格の勉強をするようになり、そのネガティブな気持ちがなくなっていったんです。

—— 資格の勉強をしようと思ったきっかけは何だったのでしょう。

通信制高校に慣れてきた1年生の2学期から、進路について考えるようになりました。大学進学をしたいけれど、学力で入学試験に太刀打ちできるのか不安があり、それなら資格を取って総合型選抜に挑むのはどうかと考えました。そんなとき、インターネットで簿記の存在を見つけたんです。それでテキストを見てみたら、直感的に面白そうだと感じて勉強を始めてみました。1年生の10月から勉強をスタートしたのですが、取り組んでみると学校の勉強よりも自分の肌に合っている感覚がありました。

—— 総合型選抜は、資格が出願条件になっている学部や、持っている資格を高く評価されたり、優遇されたりする学部もありますね。

はい。それで日商簿記の資格を在学中に取ろうと思ったんです。せっかく勉強するのであれば1級に合格したいと思い、そこから2年間、独学で勉強を進めていきました。

「通信制だからできた」自由な時間を活かして難関資格へ挑戦

—— 高校3年生の6月に全商簿記1級、11月に日商簿記1級に合格しています。勉強は大変でしたか?

独学だったので大変ではありましたが、週2回のスクーリング以外は自分の時間を自由に使えたため、勉強時間はしっかり確保することができました。簿記の勉強自体も楽しく、大きな躓(つまず)きを感じたこともありませんでした。

—— 高校のレポート提出などとも両立はうまくできたのでしょうか。

高校では、レポート提出などのスケジュール管理は自己管理が必要な環境でしたが、前もって計画を立てて取り組んでいたので問題ありませんでした。勉強でわからないところがあればスクーリングの日以外に質問に行ける日があり、そこで先生に教わることもできます。自分から動かなければ何も進みませんが、自分のペースをつくって行動すれば、卒業は十分目指せる環境だと思います。

—— 大学進学に向けての資格取得ということでしたが、他に何かモチベーションになる要素はあったのですか?

日商簿記1級は合格率が毎年10〜15%の難関資格です。これに合格すると地元の新聞に大きく取り上げてもらえるんですが、他の高校生が掲載されているのを見て、自分もここに載りたい!と思うようになりました。

—— 結果、取り上げてもらえたんですね。

はい、高校生での合格は珍しかったので、新聞一面に大きく取り上げていただきました。うれしかったですね。それに、簿記の勉強に打ち込む中で、通信制高校に対するネガティブな気持ちが消えていき、通信制高校だからこそ自分のやりたいことに打ち込めていると前向きに考えられるようになっていきました。新聞に載ったときには、通信制高校の仕組みを活かして合格できたと堂々と胸を張って言える状態になっていましたね。

—— 大学はどのように決めたのですか?

まず簿記資格が評価される大学・学部から探していき、駒澤大学の経済学部商学科に決めました。新潟県に住んでいたので、オープンキャンパスなどに通うことができなかったのですが、オンラインでいろいろな情報を集めながら決めていきました。入試自体も、自己推薦書と事前課題の小論文を提出してオンラインでの面接だったので、一度も新潟から出ることなく大学進学を決めることができました。

—— 面接や小論文の対策はどうしたのですか?

私が通っていた高校では、四年制大学に進学を希望する人は多くはなかったため、学校のサポート体制は十分ではありませんでした。進学しようと思ったら情報収集からすべて自分で進めなくてはなりませんでしたが、面接は先生方が総出で練習相手となってくださり、注意点やアドバイスをいただきました。自己推薦書や小論文も先生方に添削していただき、納得のいく状態に仕上げてから提出しました。もっとも、資格取得によって有利な状態になっていたので、一般的な大学入試に比べたらハードルが高いとは感じませんでした。

—— 資格の勉強や入試対策など、しっかり情報を集めて計画を立てていけば、さまざまな道が開けていくわけですね。

日商簿記1級合格当時の朝倉さん

高校で培った力が大学進学後の公認会計士試験合格につながった

—— 現在は大学4年生ですが、大学進学後も資格の勉強を続けてきたのですよね。

はい、日商簿記1級に合格した時点で、次は公認会計士の資格に挑戦したいと考えて、資格スクールの通信講座に通い始めました。そこから勉強を続けて、3年生の11月に公認会計士試験に合格しました。ただ、実は、2年で合格する予定だったのですが……。

—— 何かあったのでしょうか。

大学生活は通信制高校と同じようにカリキュラムを自分で組み、自己管理しながら学んでいく場所なので、出だしはスムーズでした。ところが、大学にはいろいろな誘惑がありまして……。東京に出てきて世界が広がり、同級生やサークルの仲間との付き合いなどもあり、楽しんでいるうちに勉強の時間が削られてしまいました。

—— それでも3年生で合格できたのはすごいことですし、学生生活を楽しむことも大切だと思います。卒業後の進路はもう決まっているのでしょうか。

都内の監査法人に就職を考えています。ここからは大学卒業に向けて、単位取得を頑張ります(笑)。

—— 最後に、通信制高校の生徒や、これから入学・転入を考えている生徒に向けて、メッセージをいただけますか。

通信制高校にネガティブなイメージを持っている人は今も少なくありません。毎日学校に通う全日制高校とは違って、自分で時間を管理したり、課題に向き合ったりする場面が多く、ときには不安になったり、周りと比べてしまったりすることもあるかもしれません。それでも、学び方が違うだけで、通信制高校のみなさんが積み重ねている努力の価値は変わりません。大切なのは、ゴールを決めて少しずつでも努力し続けていけば、スタートはどこであろうと関係ないということです。私は通信制高校で3年間過ごしたからこそ、今の自分の姿があると心底感じています。資格の勉強だけでなく、部活やアルバイトでも何でもいいので、好きなことや打ち込めることがあれば、とにかく無我夢中に頑張ってみてほしいと思います。目に見える結果を残せば、周りから認めてもらえ、それがまた追い風になり、たくさんの可能性をもたらします。

—— ありがとうございました。

取材協力

朝倉将太さん(駒澤大学経済学部商学科4年生)

2020年4月、新潟県立高田南城高等学校・通信制課程に転入学。2022年11月に高校3年生で日商簿記1級に合格、駒澤大学経済学部商学科に進学し、2025年公認会計士試験論文式試験に合格。

<取材・文/大西桃子>

この記事を書いたのは

大西桃子
ライター、編集者。出版社3社の勤務を経て2012年フリーに。月刊誌、夕刊紙、単行本などの編集・執筆を行う。本業の傍ら、低所得世帯の中学生を対象にした無料塾を2014年より運営。
この記事をシェアする

通信制高校・サポート校を探す

ピックアップ

通信制高校

「ありえない」そう思っていた通信制高校へ進学を決めた家族の理由

2022/08/31
生徒・先生の声

【詳しく知りたい!】サポート校と通信制高校の違いってなに? 中央高等学院...

2018/10/08
通信制高校

通信制高校多すぎ! どの学校に行くべきか選べないあなたへ

2018/04/24
生徒・先生の声

通信制高校を知って道が開けた 鹿島学園 先輩インタビュー

2017/07/03
生徒・先生の声

「自分でいいイメージに持っていけばいい」卒業生が語る通信制高校で学んだ...

2017/06/26
PR

通信制高校から専門学校へ―「不利」が武器に変わる3つの視点

2026/01/30

人気記事

専門家に聞く

名前を変えるのは意外と簡単? 改名の手続き方法を専門家に聞いてみた

2019/03/02
専門家に聞く

セックス経験のある高校生は10%超 学校では教えてくれない「性」の本当の話

2019/11/06
専門家に聞く

頭の中を埋め尽くす「罪悪感」をどう解消する? 心理学の視点から考える、...

2020/03/17
先輩に聞く

通信制だからこそ見つけた道!高校生で難関資格合格

2026/05/26
通信制高校

世界は9月! なぜ日本は4月に新学期がスタートする?

2022/03/21

通信制高校・サポート校を探す

全国で人気の学校特集
LINEで簡単通信制高校診断