「暴力」にどう向き合えばいい?――家庭内暴力や校内暴力に悩み苦しむ人のヒントになる本5選

本などから学ぶ

2018/02/08

子どもが家で暴力をふるうようになった。
学校内で暴力をふるわれているかも。
どうやって子どもの「暴力」と向き合えばいいの?

そんな時のために、手元に置いておきたい本を5冊ご紹介します。

『親に暴力をふるう子どもの心がわかる本』(山中康裕/講談社)

本書では、思春期の子どもの不安定な心理が取り上げられています。「暴力は望ましくないかたちではあるが、内面の危機を語る表現である」と述べる山中氏。空虚感、劣等感、拒否、投げやり、迷い、助け。そうした苦しみが暴力という「症状」で出てくると述べています。

「何が不満なのか?」
「本当はどうしてほしいのか?」

暴力に隠された子どもの心理が、イラストや図表とともに読みやすく詳解されているのが特長。家庭内暴力の原因や背景を探るだけでなく、親がどうあるべきか、にも触れられています。

暴力をふるってしまう子どもや暴力に悩む親だけでなく、「家庭内暴力ってどんなもの?」という疑問をもつ人など幅広い層におすすめの本です。

▼『親に暴力をふるう子どもの心がわかる本』(Amazon)
http://amzn.asia/6D1P0hw

『暴力は親に向かう―いま明かされる家庭内暴力の実態』(二神能基/東洋経済新報社)

ニートやひきこもり、不登校などの若者の再出発を多角的に支援しているNPO法人「ニュースタート事務局」。その代表を務める二神能基(ふたがみ・のうき)氏の経験から書かれた一冊です。10代後半から起こる家庭内暴力とそれが長期化してしまう仕組みを解説しています。

実際に相談を受け、その対応に尽力している著者だからこそ語れる家庭内暴力に対する「5つの心構え」や具体的な対処法は圧巻です。

目をそむけたくなる事例も多数紹介されていますが、親にも子どもにも苦しみしかもたらさない家庭内暴力からの救いや解決の糸口になりそうです。

▼『暴力は親に向かう―いま明かされる家庭内暴力の実態』(Amazon)
http://amzn.asia/3UHXK6X

『お父さん、許してやるよ―不登校・ひきこもり・家庭内暴力を乗り越えて』(伊藤恵造/学陽書房)

カウンセリングルーム「ひだまり」の開設者・伊藤恵造氏が、ひきこもりの息子との体験とカウンセリング経験に基づき、家庭内の問題について綴った一冊。不登校や引きこもりがメインテーマですが、その中で家庭内暴力についても触れられています。

暴力を恐れない気持ち、暴力を恐れて子どもの言いなりにならないことが大切、と著者は語ります。

暴力だけをやめさせようとか、子どもに問題があるというとらえ方をしている限り、子どもの暴力はやむことはありません。暴力をきちんと受け止めるのが、対応の基本になると書かれています。

家庭内の問題に頭を悩ませている親はもちろん、親に気持ちをわかってもらいたい子ども自身にとってもヒントになる内容が盛りだくさん。随所にある『親御さんに贈る言葉』も心に残ります。

▼『お父さん、許してやるよ―不登校・ひきこもり・家庭内暴力を乗り越えて』(Amazon)
http://amzn.asia/9kfL6XK

『中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで』(青木光恵/KADOKAWA/メディアファクトリー)


©2017 Mitsue Aoki

男子生徒によるいじめをきっかけに不登校になった少女が、高校合格を果たすまでを描いた実録コミックエッセイ。主人公は青木光恵氏の実の娘さんです。頼りない担任&学校に対して、頼りになる塾と家族で団結して立ち向かうストーリーになっています。

あとがきには、主人公の母である著者の強い想いが親しみやすい言葉で綴られています。

「まー、中学ぐらい行かなくってもなんとかなりますよ!と、今なら経験者としてはっきり言えます。なかなか渦中では思えないことなんですけどね~。」

なぐられたり、暴言を吐き続けられたり……。実際はもっとドロドロとした状況だったことでしょう。しかし、本書はそれを感じさせないほどにすらすらと読めます。校内暴力に立ち向かうための参考書となるのでは。

▼『中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで』(Amazon)
http://amzn.asia/gjhxb4v

『いじめのある世界に生きる君たちへ―いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉』(中井久夫/中央公論新社)

精神科医である中井久夫氏自身のいじめ体験をベースに、絵本作家のいわさきちひろさんの画を添えているので、親子で読んだり、親が子どもに贈ったりもしやすい一冊です。

いじめの進行過程には「孤立化」「無力化」「透明化」の三段階があり、被害者が自殺を選ぶほど追いつめられるプロセスから、加害者が過剰に残酷になるメカニズムまで、いじめについて幅広く理解することができます。

本書は、あとがきを含めてもわずか100ページ、段組みもゆるく文字数も多くありません。

しかし、その短い文字数にいじめの構造と子どもたちへのメッセージが凝縮されています。語りかけるような言葉で綴られた本書は、読者の心にそっと寄り添ってくれることでしょう。

▼『いじめのある世界に生きる君たちへ―いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉』(Amazon)
http://amzn.asia/gntEWEC

「暴力」を他人事としないでほしい

今回は、家庭内暴力、校内暴力の当事者経験、または支援経験がある著者の本を紹介しました。

家庭内暴力は、「普通の家庭」の「普通の子」が暴力をふるってしまうケースがほとんど。決して他人事ではありません。また家庭内暴力は、長引けば長引くほど悪化します。時には第三者に頼ることも必要です。

どうすれば、暴力から親子一緒に抜け出せるのか。暴力が生まれないような家庭にするためにはどんなことに気をつければいいのか。さまざまな気づきを本から得られることでしょう。

(選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2018年2月8日)に掲載されたものです。

この記事をシェアする