
「通信制高校だと、全日制よりも受験で不利になるんじゃないか」という不安をときどき耳にします。ですが、実際には「通信制高校の卒業歴」が大学進学において不利となることはありません。
では、"通信制高校は不利"と言われることが多いのはなぜなのでしょうか。ここではその理由と、不利な点を乗り越えるための具体的な対策について解説します。
通信制高校からは進学できない?
通信制高校は、全日制の学校よりも大学へ進学する人が少ないというのは本当でしょうか。文部科学省の学校基本調査(令和6年度確定値)では、下記のようなデータが発表されています。
| 学校の種類 | 大学への進学率 | 専修学校への進学率 |
|---|---|---|
| 通信制高校 | 28.6% | 22.9% |
| 全日制・定時制高校 | 62.6% | 14.8% |
※文部科学省「学校基本調査」令和6年度確定値(2024年度卒業者)
専修学校への進学率は全日制と通信制で大きな差はありません。一方、大学への進学率は、年々増加傾向にはあるものの、通信制高校から大学へ進学する人は全日制・定時制の約半数以下となっています。なお、通信制高校の大学進学率は2024年度卒業者で28.6%と過去最高を更新しており、着実に上昇が続いています。
やっぱり大学へ行かないのは通信制高校が受験で不利になるから?
通信制高校の卒業証明書には高校名は記載されますが、通信制課程であることは一切記載されません。つまり、一般入試の時点で通信制高校出身であることが大学側に知られることはなく、不利となることもありません。また、指定校推薦の枠は学校により差がありますが、大学が募集するAO入試や推薦での受験は全日制と同様に可能です。
このように、受験資格の面で不利になることはありません。しかし、通信制高校の特性を考えると、学習面において不利となるポイントがいくつか見えてきます。
まずは、全日制に比べ登校日が少ないため、分からないところを先生に聞きにくい環境であることが挙げられます。分からないポイントで手間取り、受験勉強が思うように進まないことがあるかもしれません。
また、通信制高校のレポートは難易度が低い学校が多く、学校での学習が受験勉強に直結しないケースがあるという問題もあります。
さらに、大学進学を目指す仲間が少ないため、互いに励まし合える環境が乏しく、モチベーションを維持しにくいこともひとつの要因です。
こうした通信制高校ならではの不利な点があることは確かです。しかし、対策を講じることで大学合格は十分に目指せます。
大学進学を目指すために大切なこととは
- 当事者意識を持つ
- 勉強のサポートがしっかりした学校を選ぶ
- 「通信制高校を卒業すること」を目標としない
通信制高校に不利な点があるのは確かです。しかし、飛鳥未来高等学校やトライ式高等学院(サポート校)、N高等学校・S高等学校・R高等学校からも、京都大学・東京工業大学などの難関国立大学や、慶應・早稲田といった有名私立大学への進学者が出ています。
では、通信制高校ならではの不利な点を乗り越え、大学合格を達成するためには何が大切なのでしょうか。
当事者意識を持つ
通信制高校・全日制を問わず、大学進学を目指す上で最も大切なことは、大学に行くのは自分自身のためだという意識を持つことです。先生や親に言われるから勉強するのではなく、自分の将来のために取り組むと意識することで、勉強への姿勢は大きく変わります。
一見当たり前のように思えますが、この意識の有無が長期的なモチベーションの維持に大きく影響します。まず「なぜ大学に行きたいのか」を自分なりに言語化することからはじめてみましょう。
勉強のサポートがしっかりした学校を選ぶ
塾事業を母体としたトライ式高等学院(サポート校)や、大学進学コースを持つ一ツ葉高等学校・鹿島朝日高等学校、AO入試・推薦対策に強いヒューマンキャンパス高等学校など、受験勉強を支援する体制を持つ学校も多くあります。
実際に勉強するのは自分自身ですが、頼れる先生や自習スペースが確保されることで学習効率は大きく上がります。現在、進学サポートのない通信制高校に通っている方も、まずは担当の先生に勉強・進路の相談をしてみましょう。学校側からのサポートを引き出せるかもしれません。
「通信制高校を卒業すること」を目標としない
通信制高校の卒業だけを目標にしてしまうと、そのペースに甘えてしまい、受験勉強を本格的に進めるのが難しくなります。いざ受験という段階で「入りたい大学に届く学力がない、でも受験モードに切り替えられない」という状況に陥りやすいのが、通信制高校ならではのリスクです。
入学当初から「通信制高校の卒業はゴールではなく、大学進学へのステップ」と位置づけ、並行して受験勉強に取り組む意識を持ちましょう。
通信制高校だからこそのメリットもある!

通信制高校の最大の強みは「時間」です。全日制高校に比べて学校に拘束される時間が圧倒的に少ないため、受験勉強・課外活動・インターンシップなど、自分の目標に向けた行動に時間を集中させることができます。
特に注目したいのが、平日の昼間に行動できるという点です。大学のオープンキャンパスや公開講座、学部説明会は平日開催のものが多く、全日制の生徒には参加しにくいケースも少なくありません。通信制高校生はこれらに気軽に参加でき、志望大学への理解を深めたり、教授や在学生と直接話したりする機会を積極的につくることができます。
総合型選抜(旧AO入試)との相性の良さ
この「時間を使える」という特性が、特に効いてくるのが総合型選抜(旧AO入試)です。現在、総合型選抜を実施する国公立大学は2024年度入試で105大学343学部と過去最高を更新し、私立大学では入学者の半数以上が総合型選抜・推薦入試経由という状況になっています。
総合型選抜が見るのは学力だけではありません。「その大学・学部で何を学びたいのか」という本気度と、それを裏付ける実体験が最大の評価ポイントです。本やネットで調べた話より、実際に現場へ足を運んで得た経験をもとに語れる学生が圧倒的に強い入試です。
通信制高校生は、時間を使って課外活動・ボランティア・インターン・オープンキャンパスなどに取り組みやすいため、この「実体験」を積む機会が全日制高校生より豊富です。また、通信制高校では評定を取りやすい傾向があり、推薦出願に必要な評定基準をクリアしやすい点もメリットです。
「学校の授業だけで受験を乗り越えるのは不安」と感じている方も、総合型選抜という入試の窓口を意識することで、大学進学の可能性は大きく広がります。まずは志望大学のアドミッション・ポリシーを調べ、「この大学が求める学生像に自分はどう合致するか」を考えるところから始めてみましょう。
大学には行きたいけれど、行きたい大学や学びたいことが分からない
- 大学に行った方がいいとは思うけれど、行きたい大学が分からない
- そもそも自分が何をやりたいのか、何を学びたいのかが分からない
こういった悩みを持つ人は少なくありません。そんなときは、まず自分の目で見て体験してみることが近道です。
大学のオープンキャンパスや文化祭に足を運んでみたり、専門学校の見学に参加したりすることで、学びたいことのヒントが見えてくることがあります。アルバイト・ボランティア・職業体験なども、視野を広げる良い機会です。
考え込んでも答えが出ないときは、まず動いてみることが大切です。行動することで初めて「これだ」と思えるものに出会えることは多いはずです。
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参考文献・引用元
文部科学省:学校基本調査
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部
「一人ひとりに最適な学校探し」をテーマに、さまざまな進路選択を考える生徒さん、親御さんに向けて、よりたくさんの選択肢を提供できるよう、通信制高校、サポート校に関連する情報を発信しています。








