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高校生が不登校になるとどうなる?原因や親の対応・留年や編入の選択肢とは

高校生が不登校になるとどうなる?

高校生の子どもが急に学校へ行かなくなり、どうしたらよいかわからない……。そんな保護者の方は少なくありません。高校は義務教育ではないため、出席日数が足りなくなる不安や、退学のリスク、健康状態などさまざまな不安がでてくるのではないのでしょうか。

この記事では、高校生の不登校の特徴やよくある原因、不登校の子どもへの対応方法、そして今後とれる手段などを紹介していきます。

この記事の目次 
動画で詳しく知りたい人は、こちらからご覧いただけます。

[知っておきたい]不登校の定義

どのような人が「不登校」に当てはまるのかはご存知でしょうか。まずは自分やお子さんが不登校に当てはまるのか、定義を確認していきましょう。

不登校の定義は、文部科学省が以下のように定めています。

「年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒」のうち「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、『病気』や『経済的理由』による者を除く)
引用元:不登校の現状に関する認識

しかし、この定義にはあてはまらないものの、実質不登校に近い状況の高校生も一定数いるのが実情です。

不登校の定義に当てはまらない例

  • 年間欠席数は30日未満だが20日以上休んでいる
  • 保健室登校
  • 遅刻・早退が多く授業を満足に受けられていない

こうした状況を継続しながらでも学校に通い続けられる生徒もいます。ただ、ちょっとしたトラブルから状況が悪化する可能性もあるため、色々な対応を検討しておくとよさそうです。

不登校のタイプ別と特徴

文部科学省によると、不登校の子どもはそれぞれの特徴から以下の5つのタイプに分類できると言います。

不登校のタイプ 特徴
無気力型 自己肯定感や学校へ行く意味を見失っており、学校を含む身の回りのこと全般のことにたいして無気力になっている状態。
遊び・非行型 学校に行く意味が分からない、または家庭や学校に対して不満を抱えており、発散方法として遊びや非行にはしっている状態。
人間関係型 いじめや、先輩後輩関係、教職員との相性が悪いなど人間関係が理由で学校に行けていない状態。
複合型 無気力だけど非行に走る。人間関係に悩んだ結果無気力になってしまった。など複数のタイプが混ざっている状態。
その他型 どのグループにも分類できない場合はその他型として分類される。

高校生の不登校の人数・割合はどのくらい?

文部科学省の調査によると、日本の不登校の高校生は43,051人(令和2年度)。つまり、高校生のうち70人に1人くらいの生徒が不登校ということになります。また男女の割合はおおよそ43:57だと言われています。

ただし、この中には以下のような人は含まれていません。

  • 病気や経済的な理由により登校ができない人
  • 年間欠席は29日未満だが保健室登校や早退が多い人

つまり、高実際はデータの数値以上に不登校のような状態の生徒数は多いと考えられます。
参考)内閣府 平成24年度 若者の考え方についての調査:不登校の分析PDF

登校拒否が増える時期

不登校になりやすい時期は、夏休みや冬休みなどの「長期休暇明け」が多いとされています。
その理由として、

  • 休暇中の生活リズムに慣れてしまい心身が追いつかない
  • 学校が自分にとって苦痛・ストレスの原因であることを自覚してしまう
  • 休みと学校のギャップを感じて登校意欲がなくなる

などが挙げられます。
ただし、不登校になる直接的な原因が「長期休暇」なのではありません。長期休暇はキッカケに過ぎず、根本的な原因はほかにあります。

中学生と高校生の不登校は違う

同じ不登校でも、中学生の不登校とは大きな違いがあります。

中学校の場合は義務教育の一環のため、簡単に転校したり、学校をやめたりすることはできません。一方で高校生の場合は、学校をやめる(中退)、転校をするという選択肢が比較的とりやすくなっています。

  不登校割合
(1000人あたり)
不登校生徒のうち
中途退学にいたった割合
高校生 13.9人 19.7%
中学生 20.5人

参照元:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

高校生は自分の身を置く環境をある程度自由に選べることから、義務教育期間の中学生よりも、不登校の割合が低くなっている可能性もあります。

高校生が不登校になる主な原因と理由

不登校の子どもが学校に行かない理由は、親が甘やかしているからなのではないか、子どもに問題があるからなのではないか、と不安になっていませんか?不登校の理由は、病気や家庭の事情、生徒本人の意思など、さまざまなケースがあります。

高校生が不登校になってしまう原因は主に以下の5つがあります。

  • 原因・理由① いじめや人間関係の悩み
  • 原因・理由② 受験・勉強のストレス
  • 原因・理由③ 問題行動・昼夜逆転
  • 原因・理由④ うつ病・体調不良
  • 原因・理由⑤ 進路・将来への不安

ただし、子どもそれぞれの性格や環境にもよっても違うため、必ずしもこの5つのいずれかが理由だとは限りません。

原因・理由① いじめや人間関係の悩み

多くの場合、小中学校に比べて高校の方が広い範囲の地域から生徒が集まってきます。そのため、自然と関わる人や交友関係の輪も広がります。交友関係が広がるということは良いことのように思えますが、一方で「人間関係のトラブルが起きやすくなる」可能性も高くなるということです。

友人との衝突や異性を巡る恋愛絡みなど、思春期ならではのトラブルが原因で不登校になってしまうケースもあります。また、そもそも集団行動が苦手なタイプであれば、かえって人間関係に疲れてしまうかもしれません。

原因・理由② 受験・勉強のストレス

だんだんと勉強に遅れを感じ、「なんで自分は授業についていけないのか」と思い悩んでしまうことで不登校になるケースもあります。

特に高校から進学校へ入学した場合、これまで常に学年上位だった成績が下位になってしまうという挫折を初めて味わった生徒に起きやすいです。親や教師の言うことをよく聞いていた子どもが急に不登校になることから、優等生の息切れとたとえられることもあります。

また、高校生は大学受験という大きな課題を控えている時期です。高校1年生までは学校生活を楽しめていたにもかかわらず、進路や受験を意識し始める2・3年生と学年が進むにつれて、思うように成績が伸びなかったり周囲とのギャップに焦りを感じたりして、学校へ行くのが嫌になってしまう子どももいます。

原因・理由③ 問題行動・昼夜逆転

非行・遊び型の不登校に多いのが、問題行動・昼夜逆転(夜遊びなど)です。交友関係が広がったことで、場合によっては友人から悪影響を受けてしまうことも考えられます。

例えば、学校をサボってゲームセンターやカラオケに行ったり、深夜まで外で遊んだりすることが常習化してしまうかもしれません。その結果、朝方に帰宅して日中に睡眠をとるなど生活が昼夜逆転してしまい、学校へ通えなくなってしまうのです。

ただ、本心ではよくないと思っているものの、断ったら仲間はずれにされるという不安や、親や先生に指摘されたときの反抗心から、遊びや非行の頻度が増えてしまう可能性もあります。

原因・理由④ うつ病・体調不良

環境による原因だけでなく、学生本人が精神疾患を発症するなど、体調不良が続いて行きたくても行けない場合もあります。

心をストレスから守ろうという防衛本能で幼児退行をしたり、学校生活での何かしらのストレスや疲れが原因でうつ病になったりしてしまうことも。うつ病や類似した症状がある場合は、必ず心療内科に行って専門家の治療を受けるようにしましょう。

「無性にイライラする」「疲れた感覚がとれない」「すべてがめんどうくさいと感じる」などの傾向がある場合は、早めに受診することが推奨されます。

参考)うつ病の症状 | 医療法人東横会 心療内科 精神科 たわらクリニック

原因・理由⑤ 進路・将来への不安

受験に限らず、高校生は卒業後に「進学」や「就職」という大きな決断を迫られることになります。

進路や将来について考えるように言われた結果、不安に駆られてしまう場合も。特に、周りに目標に向かって進んでいる友人がいると、勝手に比べて自己嫌悪に陥ってしまう可能性もあります。

進路・将来への不安

親はどう対応すればよい?

不登校で悩むのは子ども本人だけではありません。むしろ保護者のほうが、「うちの子に限って…」と我が子が不登校となった事実に対して、受け入れられなかったり慌てふためいたりしてしまうことも多いはずです。

しかし、ここまで紹介してきたように、不登校の原因は必ずしも甘えやわがままというわけではないのです。特に、高校生は子どもから大人へと変わる複雑な時期であり、大人に全てが見えるわけではありません。

本人が気づかないうちに、ストレスをためている可能性もあるため、周りの大人は決めつけをせずに接することが求められます。

では、具体的にどんな対応が大切なのかを説明していきましょう。

対応① 学校を休ませる

学校に行かないことで、勉強の遅れや周囲からの目、単位のことなどが気になってしまうかもしれません。しかし、通学を無理強いしたり、いきなり理由を問い詰めたりすると、子どもが余計に塞ぎ込んでしまう可能性があります

  • 接し方を変えない
  • 不登校の理由を無理に聞かない
  • 「がんばれ」など特定の行動を求める声掛けをしない
  • 不登校=悪いこと という印象をできる限り与えない

などを意識しながら、まずは無理に学校に行かせず、「学校に行かない」選択をしている子どもの意思を大切にしてあげてください。

対応② スクールカウンセラーや先生に相談する

家庭だけで対応が難しい場合は、担任の先生に相談してみましょう。

学校での様子やトラブルがなかったかなど、家庭では知り得ない情報を聞けるかもしれません。子どもの状態によっては、保健室登校(別室登校)をさせてもらえないか、相談してみてもよいでしょう。

親や先生に本心を話してくれない場合、スクールカウンセラーを頼るのも手です。中には、カウンセリングを嫌がる子どももいるので、その場合は無理強いを避けましょう。

対応③ 不登校支援をしている団体に相談する

不登校支援をしている団体に相談するという方法もあります。 どうしてよいかわからずに親が抱え込んでいても、家庭内の問題が解決するわけではなりません。そういったときは不登校問題を扱う専門機関にサポート依頼を検討してみましょう。

参考)一般社団法人 不登校支援センター

対応④ 学校の転校(転入)・編入

人間関係のトラブルなど学校環境に原因がある場合、学校を転校・編入させるという選択肢を検討する必要があります。ただし、全日制高校や定時制高校では、入学できる時期が決まっているため、タイミングは重要です。

なお、通信制高校であれば、転入は年間を通して、編入であっても時期の融通が効きやすいという特徴があります。

転校・編入先でも通えなくなったら……という不安があるかもしれませんが、通信制高校では、毎日の通学が必須ではない学校もありますので、体調に合わせて登校頻度を選ぶことも可能です。

対応⑤ 学校以外での学習方法を検討する

現在は学校以外にも、「タブレット学習」や「オンライン家庭教師・塾」など、不登校の生徒でも自宅で勉強に取り組めるサービスが充実しています。

大学進学や専門学校への進学を目指しているのであれば、高校には通わずにオンラインで学びながら高認試験を受験、大学進学の勉強をするといった選択も可能です。

(参考)不登校の回復過程

不登校は、段階を経て回復していくと考えられています。ここまで提案してきた対応方法は、この段階に応じて行うことが大切なので、本人の状態に関わらず保護者だけが先に進んでしまわないように注意してください。

回復過程 概要
混乱期 徐々に学校へ行けなくなり、罪悪感や今後への不安で混乱している状態。
安定期 少しずつ現状を受け入れて、親への反抗などがおさまる時期。
転換期 少しずつ学校や外へでる意欲を示しながら、問題を解決しようとする行動をする時期。
回復期 具体的に不登校から脱却するために行動へ移す時期。

参照元:不登校4つの段階-NPO法人 D.Live

登校拒否を続けたら?単位が足りないと留年に…

不登校の状態が長く続くと、今後どうなるのだろうと不安になる方が多いでしょう。現実的な問題として、高校では不登校によって進級に必要な単位数に満たないと、卒業はおろか留年してしまうことになります。

全日制高校では、「年間の全授業日の3分の1以上(あるいは3分の1を超える日数)」を欠席すると留年になることが多いので注意が必要です。

また、不登校の間に自宅で勉強が進まなかった場合、学力低下によって進級に必要な成績をとれず、留年になってしまうことも考えられます。

高校を卒業しないと将来ヤバい?不登校から高校卒業できる方法

不登校の状態になると、「人生終わりだ」「家族に迷惑をかけてしまうかも」という悲観的な考えを子どもも持つかもしれません。しかし高校を卒業しなくても、高卒認定試験を受けて大学に進んだり、就職をして働いたりすることは可能です。

とはいえ、できることなら高校を卒業しておきたいと思う人は多いでしょう。そこで、不登校の学生が高校を卒業するための方法を2つ紹介します。

学校外での指導を出席扱いにしてもらう方法

全日制の高校を卒業するためには単位が必要ですが、実は学校の授業以外で単位をもらう方法があります。例えば、「フリースクール」など学校外の施設で指導を受ける方法です。

文部科学省からも、学校外で受けた指導を出席扱いとして認めると文書が発表されています。ただし全ての学校において単位として認められるわけではないので、現在在学している高校に確認が必要です。

参考)高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について

通信制高校や定時制高校へ転校(転入・編入)する

全日制にこだわらず、通信制高校や定時制高校に転校するのも有効な方法です。

特に通信制高校であれば、転入・編入時期への縛りが少ないため、希望の時期に学校を移りやすいというメリットがあります。そのため、一度不登校になった学校よりも、新しい環境でやり直したいという生徒にも選びやすい方法です。

ほかにも、

  • 自分の好きなペースで登校日や学習方法を決められる
  • 最初は登校頻度を少なくし、あとから増やす
  • オンライン学習で勉強を進める
  • 自分が興味ある分野のコースなどがあり、通常の勉強以外にも目を向けやすい

などのメリットがあるため、不登校となった生徒の選択肢として多くの人に選ばれています。こうした特徴から、通信制高校では不登校などの経験を持つ生徒が多いので、悩みを共有することができたり、学校側からの配慮を得られたりする点も魅力のひとつと言えるでしょう。

大学受験・進学は高校が不登校では難しい?

高校で不登校になった場合、大学受験や進学への影響も気になる点ですよね。前提として、大学受験をするためには、高卒資格または高卒認定が必要になります。

① 高卒認定試験から大学受験を目指す

不登校になってしまい卒業が難しそうな場合は、高卒認定試験を受けるという選択肢があります。

高卒認定試験とは、高校卒業程度の学力があることを証明する試験のことで、合格すると高卒と同等の扱いを受けられます。つまり、大学や専門学校への受験資格が手に入るのです。

ただし、高卒認定試験に合格しただけで大学に進学をしなければ、最終学歴は中卒のままなので注意してください。

② 自由な時間が多い通信制高校で受験対策する

通信制高校を卒業した場合でも、全日制高校と同じように高卒資格が得られます。

毎日登校しなくてもよいので、自宅で受験勉強に充てる学習時間を確保できるという強みがあります。もちろん学校を通して学習のサポートも受けられるので、効率よく受験対策が進められるでしょう。

通信制高校に転校した先輩の声

最後に、不登校から通信制高校を選んだ先輩たちの声を抜粋して紹介します。

「中学生の時は、適応障害になりかけたこともあり、人と会うのが嫌でひきこもりがちだったんです。漠然と『高校には行かないと』と思っていました。

そんなとき、3年生の時の先生が進学先を色々と探してくれて、通信制高校を知りました。定時制は一定数の人と必ず会わないといけないじゃないですか。

だったら、毎日行かなくてもいい通信制高校の方がいいかなと思って、通信制に決めました」(高校3年生、男子)

「(不登校で)長い間授業を受けていなかったので、勉強についていけるか不安でした。あとは、前の学校でのこともあって、友人関係でもうまくやっていけるかとか…。

でも実際に入学してみると、友達とは初日からお昼ご飯を一緒に食べたり、話をしたり、とっても楽しくて。勉強も自分のペースに合わせて丁寧に教えてくれるので、苦手な英語もだんだんと理解ができてきました」(高校2年生、女子)

高校生は子どもから大人になる過渡期で、悩みや葛藤の理由が複雑になりがちです。しかし、不登校のサポートをしている学校や相談窓口は全国各地にありますし、同じ悩みを抱えている高校生も多くいます。

通信制高校であれば、同じような経験や悩みを持つ生徒が多く在籍しています。不登校であっても高校は卒業したいと考えているのであれば、選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。