
高校進学率が99%を超えた現代、学校選びは「行ける学校」から「行きたい学校」へと形を変えています。家庭の経済状況に関わらず、子どもたちが自らの可能性を広げられるよう、国が学費をサポートする制度が『高等学校等就学支援金』です。
2024年以降、東京都や大阪府をはじめとする各自治体で「所得制限の撤廃」や「助成額の増額」が加速し、2026年現在、高校教育の無償化はさらに身近なものとなりました。しかし、制度が複雑で「うちは対象なの?」「結局いくら払うの?」と不安を感じている方も少なくありません。
2026年度からの最新情報と注意点を分かりやすく解説していきます。
高等学校等就学支援金とは?
この制度は2010年に始まり、幾度もの改正を経て現在の形になりました。特に2020年の改正で私立高校の支援額が大幅に引き上げられ、さらに2024年〜2026年にかけて、多くの地域で所得制限の見直しや撤廃が進んだことで、実質的な「高校無償化」の範囲は大きく広がっています。
就学支援金のお金の流れ:直接手元には届きません

この支援金は、国や自治体から「学校」へ直接支払われます。保護者の口座に現金が振り込まれるわけではなく、授業料と相殺される仕組みです。
【注意】最初の手出し資金は必要です
申請は4月の入学後に行われるため、入学金や初回の授業料などは、一度立て替えて支払う必要があります。審査を経て、実際に還付(または充当)されるのは夏以降になるケースが多いため、春先の資金準備は欠かせません。
就学支援金がもらえる条件とは?
就学支援金は誰もがもらえるわけではありません。受給資格は以下の通りです。
受給資格がある方
下記が満たされていれば、就学支援金の受給対象者となります。
- 日本国内に住所があること
- 国立・公立・私立は問わず、高等学校、高等専門学校(1〜3年)、専修学校(高等課程)等の学校に通う生徒
受給対象とならないケース
上記項目を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は受給することはできません。
- 高校等をすでに卒業・修了した方
- 在学期間が通算36ヶ月を超えた方(通信制・定時制は48ヶ月まで延長可能)
- 所得制限(年収910万円程度)を超える世帯(※ただし、後述する自治体独自の制度により、2026年現在は多くの地域でこの制限が実質撤廃・緩和されています)
なお、2026年度以降は所得制限の撤廃が検討されています。

もらえる金額と世帯年収の関係
支援額は、世帯年収と通う学校の種類(全日制か通信制か)によって異なります。
| 学校の種類 | 世帯年収目安 | 就学支援金 支給額(年額) |
|---|---|---|
| 公立高校 | 約910万円未満 | 年間 118,800円(授業料実質無償) |
| 私立高校 | 約590万円未満 | 最大 396,000円 |
| 約590万〜910万円未満 | 年間 118,800円(差額は自己負担) |

【重要】2026年現在の自治体独自の動き
現在、多くの自治体で「年収910万円」の壁を取り払う動きが定着しています。代表的な例を見てみましょう。
- 東京都・大阪府など: 2024年度から本格化した「所得制限の完全撤廃」により、世帯年収に関わらず、私立高校の平均授業料相当額まで助成されるようになっています。
- その他の県(埼玉、神奈川、愛知など): 国よりも所得制限の枠を広げたり(年収1,000万円程度まで等)、多子世帯(子どもが3人以上いる世帯)への優遇措置を強化したりする動きが広がっています。
「うちは共働きで年収が少し高いから……」と諦めるのはまだ早いです。2026年現在、お住まいの地域によっては、これまで対象外だった世帯も「実質無償化」の恩恵を受けられるようになっています。まずは自治体の教育委員会や、志望校の事務局に「最新の所得制限」について問い合わせてみることを強くお勧めします。
通信制高校特有のルール「単位制」の仕組み
通信制高校の場合、支援金は「1単位あたり」で計算されるのが特徴です。
- 公立通信制: 1単位336円まで支給。多くの学校で授業料は実質無料、または数千円程度の負担で済みます。
- 私立通信制:
- 世帯年収590万円未満:1単位あたり最大 12,030円
- 世帯年収590万〜910万円未満:1単位あたり最大 4,812円
最新版の比較表
| 学校の種類 | 世帯年収目安 | 就学支援金支給額 |
|---|---|---|
| 公立通信制 | 全世帯(制限なし) | 336円/1単位 (授業料は実質無償) |
| 私立通信制 | 約590万円未満 | 最大 12,030円〜/1単位 (授業料は実質無償) |
| 約590万円以上 | 最大 4,812円〜/1単位 (※2026年から所得制限撤廃により全世帯対象) |
【支給の上限に注意】
- 卒業までに合計74単位までが対象です。
- 年間30単位までが対象となります。30単位を超えて履修する場合、その分の授業料は自己負担となります。
- 支給期間は最大48ヶ月(4年間)です。
上記が、通信制高校で受け取れる就学支援金の内容です。
- 支給額が336円の場合:最大24,864円(74単位×336円)
- 支給額が12,030円の場合:最大890,220円(74単位×12,030円)
- 支給額が4,812円の場合:最大356,088円(74単位×4,812円)
を受け取ることが可能です。
なお、単位が取れなくて在学期間が伸びる、74単位以上取得したい場合などは自己負担となるので気をつけましょう。
学費が足りない?都道府県の独自制度と「場所」の注意点
私立高校の場合、授業料が高く就学支援金だけでは賄えないことがあります。そこで各都道府県が用意する支援金(名称は地域により異なる)が重要になります。
例えば、低所得世帯(年収250万円未満など)に対し、施設利用費まで含めて無料化する自治体は多くあります。
注意!学校のある場所によってはもらえないことも
都道府県によっては、居住する都道府県ではない学校へ進学する生徒に対しては、支援を行わない場合もあります(高等学校等就学支援金については国からの支給のため支援が行われます)。
全日制高校や定時制高校の場合は、学校がどこにあるかわかりやすいですよね。しかし通信制高校の場合は学校法人として東京に登録されているが、生徒は全国から入学可能といった学校も多くあります。
この場合は居住する都道府県ではない学校への進学となり、都道府県の支援は受けられない可能性もあるため注意が必要です。
授業料以外のお金は「奨学給付金」でカバー

高校生活を送るには、授業料以外にも施設利用費や教科書代、修学旅行費などがかかりますが、これは就学支援金の対象外となります。
教科書代、修学旅行費、PC代などの「授業料以外」をサポートするのが『高等学校等奨学給付金』です。
これは返済不要の給付金で、平成30年には約41万人が利用している制度です。
高等学校等奨学給付金とは?
高等学校等奨学給付金は、私立高校に通う生徒の保護者の経済的負担を軽減するために、国と都道府県が授業料以外の教育に必要な経費の一部を助成してくれる制度です。
■給付要件
- 生活保護受給世帯、非課税世帯
- 保護者、親権者等が当該都道府県内に住所を有していること
- 高校生等が高等学校等就学支援金の支給対象となっている高等学校等に在学していること
■もらえる金額 分類表
| 世帯状況 | 給付額(年額) | |
|---|---|---|
| 国公立 | 私立 | |
| 生活保護受給世帯【全日制など・通信制】 | 32,300円 | 52,600円 |
| 非課税世帯【全日制など】 | 143,700円 | 152,000円 |
| 非課税世帯【通信制・専攻科】 | 50,500円 | 52,100円 |
所得が低い家庭でも、高校進学を支援する制度はたくさんあります。しかし、基本的には自分から申請しなければならないため、受給資格に当てはまりそうな人は学校に必ず確認するようにしましょう。
ギリギリもらえない!? 所得判定額を下げる工夫
「年収制限の境目」にいる世帯にとって、所得判定額を抑える知識は重要です。
ギリギリの場合に考えられる方法が、「所得と判定される金額(以降 所得判定額)を減らす」ことです。では、どんな方法で所得があれば判定額を減らせるのでしょうか?
所得判定額の減額対象となる方法
■iDeCo
掛金全額が所得控除の対象です。将来の備えをしながら、支援金の区分を有利にできる可能性があります。
■その他
生命保険料控除や、地震保険料控除など税額決定通知書の所得控除欄に記載があるものは減額対象になります。
所得判定額の減額対象にならない方法
■ふるさと納税
都道府県や市区町村へ寄付をすることで、返礼品を受け取ることができる制度。こちらは、2020年以前は所得判定額を減らすために有効でしたが、2020年に制度が代わり対象外になりました。
■「住宅借入金等特別控除」(通称・住宅ローン控除)
マイホームをローンで購入した場合において、一定の割合に相当する金額が所得税から控除される制度ですが、こちらも対象になりません。
どうやって就学支援金をもらうの?
就学支援金は、自分から申請しないともらえません。
1. 入学時(4月)の申請
学校を通じて配布される申請書に、以下のいずれかを添えて提出します。
- マイナンバーカードの写し(推奨:手続きがスムーズです)
- 市町村民税の課税証明書
2. 継続の届出(毎年7月)
世帯年収に変化がないか確認するため、毎年7月に「収入状況届出書」を提出します。
ポイント: 支援金は学校へ直接支払われます。そのため、入学前に一度授業料を立て替えて支払い、夏以降に学校から返金される形が一般的です。
最後に:進路を「お金」で諦めないために
2026年の今、高校進学を支援する制度はかつてないほど充実しています。「うちは対象外かも」と決めつけず、まずは志望校の事務局に相談してみてください。彼らは制度のプロであり、あなたの家庭に最適なプランを提案してくれます。
家庭環境や学費にとらわれず、お子さんが一番輝ける場所を選べるチャンスは広がっています。
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通信制高校やサポート校は数が多く、どう選べばいいか難しいですが、自分と向き合う中で少しずつ「どうしたいか」を明確にして、自分にとって最適な通信制高校・サポート校と出会っていただければ幸いです。
参考文献・引用元
文部科学省:高校生等奨学給付金
文部科学省:就学支援金の支給額の判断基準となる者について
東京都私学財団:私立高等学校等授業料軽減助成金事業
大阪府:大阪府の高等学校等の授業料無償化制度について
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部
「一人ひとりに最適な学校探し」をテーマに、さまざまな進路選択を考える生徒さん、親御さんに向けて、よりたくさんの選択肢を提供できるよう、通信制高校、サポート校に関連する情報を発信しています。








