
通信制高校を卒業したあとは、進学や就職などの選択が待っています。
ネットの掲示板等では、「通信制高校では卒業後に就職するのが不利になるのでは?」と心配する声やネガティブなイメージを目にすることがありますが、実際はどうなのでしょうか?
ここでは、通信制高校からの将来についてや、どうすれば就職に有利となるのか、不利と言われる理由などについて考えてみましょう。
通信制高校は就職に不利なの?

通信制・全日制・定時制は全て同等の高校卒業資格(高卒資格)となります。
そのため、履歴書にも"通信制過程"などと記載する必要もなく、面接官に通信制の学校に通っていると知られることもありません。
しかし、場合によっては面接で聞かれる可能性もあるため、その際は通信制高校に通っていることや、その理由を話す必要があるでしょう。
ここで、通信制高校が不利になるのか? という疑問についてですが、この記事を読んでいる人が、通信制高校について疑問や不安を持っているように、採用する企業側もあまり通信制高校に関しての知識がない場合が多いというのが実情です。
中には「勉強ができない人が行く学校」「ちょっと問題がある人が集まっている学校」などといった偏見を持つ人もいるかもしれません。そのことが、通信制高校が不利となる理由にもなりえるでしょう。
しかし、通信制高校は決して楽に卒業できるわけではありません。自分を自制して勉強に取り組んできたこと、学校に行かない時間で頑張ってきたことなどをきちんと伝えることができれば、採用される可能性は高まるでしょう。
そのためにも、自由な時間の多い通信制高校の特徴を利用し、自分の強み・アピールポイントと言える部分を、在学中に作っておくことが大切です。
通信制高校卒業後の就職状況
文部科学省が発表している「直近の高等学校(課程別)の卒業後の状況」によると(※2024年 最新公表データ)通信制高校の卒業生の進路は以下のような割合となっています。
- 大学等進学 ……… 24.1%
- 専修学校 ……… 22.7%
- 就職者 ………… 19.3%
- その他 ………… 31.5%
※職業訓練校に入学した人や進路不明という人含む
「その他」が3割程度となっている点が気になる人もいるのではないでしょうか。
この3割にはフリーランスや夢を追ってアルバイトをしている人、起業した人なども含まれるかもしれませんが、進路未確定、心身回復期間、就職準備中など、定職につかず進学もしていない人も含まれていると考えられます。
もちろん、学校によって進路の割合はさまざまなので一概には言えませんが、こういった状況があることは認識しておく必要があるでしょう。
参考)文部科学省 第13回高等学校教育の在り方ワーキンググループ参考資料4
通信制での就職を有利に進めるための資格取得
高校卒業後、そのまま就職を目指すのであれば、資格や専門性は「就職を保証するものではないが、説明材料として使いやすいです。
資格取得をサポートしてくれる通信制高校もたくさん存在するので、その機会を活かして資格取得に取り組んでみることも有効です。
学校以外の勉強をすることで、自分の興味関心が広がるきっかけにもなりえるでしょう。
資格の例
マナー検定、簿記検定、日本語検定、秘書検定、TOEIC、電卓技能検定 など
専門知識が学べる学校を選ぶ

大学を卒業して学歴があっても就職できない……という人がいる時代にも、企業から必要とされる人がいます。それは、即戦力となる知識や専門性を持った人材です。
全日制を含む高等学校全体のデータにはなりますが、専門学科の就業率は39.7%となっており、普通科の就業率が6.3%であるのに対し、7倍近い就職率を誇っています。
まだあまり知られていませんが、私立の通信制高校には専門知識を身につけられる学校も増えてきています。学べる知識はさまざまですが、調理師やトリマー、美容師、保育、看護、システムエンジニアなどが人気のようです。
カリキュラムについては、専門知識を学ぶため登校回数や授業は通常の通信制コースよりも増えてしまうでしょう。しかし、通信制高校は卒業するための単位取得に関する拘束時間がもともと少ないため、その余分な時間を専門知識修得のために使う、ということになります。
そのため、全日制高校に通うよりも時間に余裕をもって学べるという学校が多いようです。
参考)文部科学省 第13回高等学校教育の在り方ワーキンググループ参考資料4
- アニメ・マンガ・イラストが学べる通信制高校・サポート校
- ペット(トリマー・トレーナー)関連が学べる通信制高校・サポート校
- ファッション・美容が学べる通信制高校・サポート校
- 調理師やパティシエなど食に関わる仕事を目指せる通信制高校・サポート校
アルバイトで実践を詰む
アルバイトをしたことがある人ならすでにご存知かと思いますが、実際に働いてみないと分からないことはたくさんあります。
例えば、敬語の使い方や時間を守る大切さといった基本的なことはもちろん、お金の取り扱い方、報告・連絡・相談の重要性など、さまざまなことが学べます。
「敬語が大切」と頭では理解していても、緊張した途端に言葉が出てこなくなってしまったり、尊敬語(相手に敬意を示す言葉 例:いらっしゃる、おっしゃる)と謙譲語(自分をへりくだって表現する言葉 例:うかがう、申し上げる)が混乱してしまったりすることもあるでしょう。
スーパーのレジ打ちでも、最終的な売上とレジの中の金額がぴったり合っているかを1円単位まで毎日計算します。もしミスにより金額がマイナスになっていれば、お店に損失を出すわけですから、当然上司から指導が入ります。
こういった体験をしていることや、ひとつのアルバイトを長く続けられたという事実は信頼につながりやすいため、就職でも有利になるでしょう。
大学・専門学校への進学を目指す
通信制高校の卒業後、すぐに働かなくてもよい金銭的余裕がある、いじめや不登校の影響で通信制高校に通うのがやっとの状態である、という人は進学してから就職を目指す方法が良いかもしれません。
大学や専門学校を卒業することで、求人の枠も大きく広がり、職業の選択肢の幅も広がるでしょう。ただし、大学も専門学校も毎日通学し、勉強をしなければ就職はおろか卒業も難しくなる可能性は十分にあります。
大学や専門学校を目指すのであれば、通信制高校に通う間に体調を整え、勉強などの準備をしっかりと行うことが必要です。
企業は通信制高校卒業生の「何」を見ているのか
通信制高校を卒業して就職を目指す場合、企業が見ているのは「通信制かどうか」そのものではありません。
採用する側が確認しているのは、この人と一緒に働けそうかどうか、その一点です。
その判断のために、面接や書類を通して次のような点が見られています。
自分の状況を理解し、向き合ってきたか
不登校や転校、体調不良など、通信制高校を選ぶ理由は人それぞれです。
企業側は、その事実よりも、
- なぜその選択をしたのか
- その中で、どう立て直そうとしたのか
といった向き合い方を知りたいと考えています。
無理のない形で社会との接点を持とうとしたか
必ずしも、長期間のアルバイト経験や華やかな実績が必要なわけではありません。
短時間の仕事、ボランティア、資格学習、家庭内での役割など、自分なりに社会と関わろうとした経験は、十分に評価対象になります。
自分の言葉で説明できるか
採用の場では、「何をしてきたか」よりも、「それをどう説明できるか」が重要になることも多くあります。
完璧な話し方である必要はありませんが、自分の経験を振り返り、言葉にしようとしている姿勢は、企業側にも伝わります。
通信制高校の自由度の高さは、こうした準備を自分のペースで進められる環境でもあります。高校生活の中でどんな時間を過ごすかが、卒業後の選択肢を広げることにつながっていくでしょう。
この記事を書いたのは
通信制高校ナビ編集部
「一人ひとりに最適な学校探し」をテーマに、さまざまな進路選択を考える生徒さん、親御さんに向けて、よりたくさんの選択肢を提供できるよう、通信制高校、サポート校に関連する情報を発信しています。







