バイト代の使い道は? 通信・定時制高校生のアルバイト事情

通信制高校

先輩に聞く

2018/02/24

通信・定時制高校に通いながら、アルバイトをする人は少なくありません。

バイトをする理由や、実際に働いてみて感じたことなど、現役の通信・定時制高校生や卒業生、保護者の声を紹介します。

アルバイトをする理由は?

まず、どうしてアルバイトをしようと思ったかを聞いてみました。

一番多いのが「お金が欲しいから」という理由。自分の欲しいものを気兼ねなく買えるお金が欲しい、自分で使うお金は自分でなんとかしたい、という声とともに、「大学に進学したいので、少しでも学費の足しにしたい」(定時制高校・3年・女子)、「進学用の学費を貯めるため」(定時制高校・卒業・女子)と、次のステップのためにという声もありました。

また、お金以外の動機としては、「社会勉強」(通信制高校・3年・男子)、「アルバイトを経験しておこうと思ったから」(定時制高校・卒業生・女子)などの社会経験重視派、そして、「将来福祉関係の仕事をしたいので老人向けマンションに勤務している」(定時制高校・3年・女子)など将来を見据えて、仕事としての経験を積みたい派もいました。

実際にアルバイトをしてみて、どうだった?

実際にアルバイトをした人たちに話を聞くと、学校外の世界に触れることで、「いろいろな年代の方と接する機会が多く、接客や基本的なマナーなどを学び、とても勉強になった」(定時制高校・卒業生・女子)、「自分から話さないとダメということに改めて気づいた」(通信制高校・3年・男子)、「人と会話するときに堂々とでき、コミュニケーション力が少しついてよかったなと思います」(定時制高校・3年・女子)など、ものの見方や考え方が変わっていく様子も見られました。

人と話すこと、特に違う年代の人とのコミュニケーションは、高校生にとってはかなり高いハードルです。そこを少しでもクリアできたと自分で思えるのは大きいですね。

また、アルバイトを経験したことによって、「仕事は臨機応変にしていかないといけないんだと知った」(定時制高校・卒業・女子)、「次々と先のことを考え、状況を読んで行動することができてきたなと思います」(定時制高校・3年・女子)など、働くことへの理解が深まったり、スキルが高まったりする人も。

アルバイトをしてみて、困ったことは?

アルバイトをしてみて困ったことを聞くと、友人と遊ぶ予定を決めるときはお互いにシフト調整をしなければならない、自分の趣味の時間を削らなければならないなど、スケジュールについての悩みが寄せられました。限られた時間をどう使っていくかが考えどころのようです。

遊びや趣味との兼ね合いだけでなく、学業や部活との両立ができるかどうかの不安もあります。

「学業と部活との両立が心配だったのですが、バイト先の方々が『学業・部活を優先して、バイトは出られる時に出てくれればいいからね』と言ってくださり、とてもうれしかった。今はその言葉に甘えさせてもらいながらだが、両立できている」(定時制高校・3年・女子)という人も。一緒に働く人たちの理解や協力を得られれば、とても働きやすいですよね。

そして、多くの声が上がったのが対人関係の悩み。

「指導する人によってやり方が違うため、人が変わるたびに注意された」(定時制高校・卒業生・女子)、「なんでも人まかせにしてくる人がいて嫌だった」(定時制高校・卒業生・女子)、「同僚から強引な宗教勧誘を受けた」(定時制高校・卒業生・女子)、「自分の苦手なことをイジられる」(通信制高校・3年・男子)など、職場内での人間関係の悩みが聞かれました。

また、接客業の場合、「お客様からの理不尽なクレーム、電話対応がいやだった」(定時制高校・卒業生・女子)、「対応に困るお客さんもいる」(通信制高校・3年・男子)など、お客様への悩みもありました。

しかし、自分が接客する立場になることで、「(自分の)飲食店での食事マナーが良くなった。接客してくれる人に対して丁寧になった」(通信制高校・3年・男子)と自分の態度を省みる人や、「理不尽にクレームを入れたり、無茶な要求をする人は、だいたい接客業の経験がない人がほとんどで、(自分の要求を)叶えるためには、ある程度のお金と人員がかかることを考えていない人が多いと思った」(定時制高校・卒業生・女子)と考えを聞かせてくれた人も。

トラブルを防ぐために

今回、さまざまな人にアルバイトについての話を聞く中で、アルバイトを辞めることになったケースもありました。

「面接時に、定時制高校に通っていること、土日のみ働きたいことなどの条件をきちんと説明し、雇用主側からも学業優先でがんばってほしいと採用してもらった。それなのに、働き始めると、なぜか平日にもシフトを入れられていた。学校の始業時間ギリギリになるなどの支障が出てきたため雇用主と話し合うと、言った言わないの議論に発展してしまい、これ以上は子どもにとってプラスにはならないと判断し、その場で辞めさせた。定時制高校に通う子どもに対して『がんばって』と言いながらのこの顛末にとてもショックを受けた」(定時制高校3年の子どもがいる保護者)

面接時に話した条件があとになって食い違ってしまったということで、残念なケースですね。面接を受ける側も、きちんとした雇用主かどうかを見定めて、実際に働くかどうかを決めたいものです。

今回、通信・定時制高校生のアルバイト事情を調査をしてみて、「アルバイトの経験は、ただ単にお金を稼ぐ以上に、大切なことを学ぶ場になった」と実感している人が多いと感じました。お金を稼ぐと同時に、自分にとって何か学びを得られるような、素敵なバイト先が見つかるといいですね。

(取材・執筆:わたなべひろみ 編集:田島里奈/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2018年2月24日)に掲載されたものです。

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