運動が好きになれない……体育の授業のゆううつを和らげてくれる本5選

本などから学ぶ

2019/09/17

運動会や体育の授業が苦手だった、嫌だったという人もいるのでは? 特に運動が苦手な人にとって、みんなが見ている前で競技をしなくてはならないのはつらいものですよね。

速く走れなければ、うまくできなければ、運動は楽しめないものでしょうか? 今回は、そんな運動のゆううつさを和らげてくれる本を5冊選んでみました。

『自転車女子はじめました』(著・北条晶 監修・ドロンジョーヌ恩田/竹書房)

街なかでのポタリングから野宿まで、サイクリングのさまざまな楽しみ方を、著者の体験をもとに描いたマンガ。

ポタリングとは和製英語で、一人または気の合う仲間と一緒に「散歩」程度に軽くサイクリングすること。体力や筋力に合わせ、マイペースで走ることができるので、誰でも気軽に始められます。

著者の愛車はロードバイク(スポーツ自転車)ですが、レンタサイクルやママチャリでも自分に合った自転車ライフを楽しめるんだとか。

スポーツ自転車の種類や暑さ対策、運動音痴のためのエールなどがコラムとしてつづられていて、読み応えも十分。読み進めるごとに「自転車に乗ってみたい」となること間違いありません。

▼『自転車女子はじめました』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4812492157/

『マラソン1年生』(たかぎなおこ/KADOKAWA)

学生時代から運動は苦手。大人になってからはますます運動不足な毎日を過ごす著者。ところが偶然、東京マラソンのテレビ中継を見たことをきっかけに、「走る人たちが楽しそう」という理由で、マラソンを始め、なんと大会にもチャレンジしていくコミックエッセイです。

本書に登場するランニングコーチの金哲彦さんは、「マラソンはいわゆる運動神経のいい人でなくてもできるスポーツ。むしろ他の運動が苦手な人ほど、コツコツできる」と背中を押してくれます。

走っていて辛そうなところや大会以外の日常の練習風景が面白おかしく描かれている本書。ランニング友達とのふれあいやマラソンにかこつけた旅行、走りながら脳内自分実況を始める様子など、マンガとしても楽しく読めるので、ぜひ気軽に手に取ってみてください。

▼『マラソン1年生』(Amazon)
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『快晴フライング』(古内一絵/ポプラ社)

主人公の上野龍一は、実力主義で、他人の泳ぎに無関心な水泳部員。ところが所属する弓が丘第一中学水泳部、主将・月島タケルが交通事故で亡くなったことをきっかけに、退部者が続出し、部活は存続の危機に陥ります。

新主将となった龍一は、やる気のない顧問から愛好会への降格を詰め寄られ、思わず「水泳部を再建し、メドレーリレーで大会優勝してみせる」と言ってしまいます。

ところが、残ったのは飛び込みも息継ぎもできないような部員ばかり。新メンバー集めに奔走(ほんそう)する龍一は、市民プールでクラスメートの雪村襟香(えりか)が人魚のように泳ぐ姿を見かけます。襟香に「リレーのメンバーに加わってほしい」と頼む龍一ですが、意外な理由で断られ……。

競泳を主軸に、喪失と回復、友情や家族、性同一性障害などをキーワードに、物語は展開していきます。それぞれに事情や葛藤を抱えた水泳部員たちが、仲間のために一丸となっていく姿、龍一の成長に胸を打たれる作品です。

▼『快晴フライング』(Amazon)
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『あと少し、もう少し』(瀬尾まいこ/新潮社)

山深い場所にある市野中学の全校生徒は約150人。陸上部部長・桝井日向は最後の駅伝大会での上位入賞を目指し、出場メンバーをそろえるために動き出します。寄せ集めのメンバーと頼りない顧問のもとで、駅伝に打ちこむ中学生たちの最後の夏を描いた青春小説です。

誰からも好かれる部長の桝井や気弱な設楽、素直に自分を出せない不良の大田、秀才の渡部、桝井を慕う2年生の俊介、ムードメーカーのジロー。性格の全く違う6人の走る理由や想いが、走る区間順にそれぞれの視点で語られています。

走るコースやスピード、フォームのすべてに、一人ひとりの物語が潜む本作。“駅伝”は団体競技でありながら、孤独な戦いを強いられる個人競技でもあることに気づかされるでしょう。他校のライバル選手と競いながら、「あと少し、もう少し」と懸命に襷(たすき)をつなぐ姿に心動かされます。

▼『あと少し、もう少し』(Amazon)
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『プロが教える 突然 足が速くなる! 肩甲骨×骨盤 ストレッチ』(監修・エム・エス・マイスター/マイナビ)

できれば速く走りたいけれど、どうしたらいいのか分からない。そんなふうに悩んだら、体の使い方を見直してみてはどうでしょう。

速く走るポイントは、上半身の『肩甲骨』と下半身の『骨盤』の連動。本書では、その連動を高めるための、ストレッチや体の使い方を写真や矢印を使って分かりやすく教えてくれます。

一人でもできるセルフストレッチが豊富に解説されているので、人前で体を動かすのが苦手な人も実践しやすいはず。

「きれいなフォームを身に付けたい」と思う人にもおすすめの一冊。まずは自分の体が硬いのか柔らかいのか、『柔軟性チェックシート』で確認し、体の柔軟性に応じたストレッチから始めてみましょう。

▼『プロが教える 突然 足が速くなる! 肩甲骨×骨盤 ストレッチ』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/4839950881/

自分なりに楽しめる運動はきっとある

みんなの前で走ったり、跳んだりしなければいけない運動会や体育の授業。そんな時間にプレッシャーを感じたり、ゆううつになったり……。

でも、よく考えてみると、自分自身が楽しめるなら、どんな運動をしてもいいはず。「周りと同じようにできなきゃ」と気負う必要はありません。体を動かすと爽快感を味わえるもの。自分なりのペースで運動と付き合っていってくださいね。

(選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2019年9月17日)に掲載されたものです。

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