「親子」って難しい?――子どもとの関係に悩む人のヒントになる本5選

本などから学ぶ

2018/07/27

親子のつながりはもちろん大切だけど、子どもとのつながり方や距離感ってどのくらいが心地よいだろう?

親子関係に悩んだ時に、手元に置いておきたい本を5冊ご紹介します。

『思春期の子に、本当に手を焼いたときの処方箋33』(土井高徳/小学館)

35年以上にわたり里親として子育てをしてきた著者が、親子の具体的な場面を想定して、実践的な言葉かけや接し方を紹介していきます。

子どもをダメにする10の叱り方としては、「一方的に命令する」「説教が長い」「過剰に警告する」「親が被害者のふりをする」「他の子と比較する」などが挙げられています。振り返ってみると自分が子どもにしてしまったこともあれば、自分が親にされたこともあるのではないでしょうか。それがなぜいけないのか、どう対処すればいいのかを、丁寧に分かりやすく教えてくれます。

著者の豊富な経験と心理学や行動療法などの理論に裏打ちされた33の方法は、子どもの考えに良い距離感で寄り添うヒントになるはず。繰り返し読むことで身につけていきましょう。

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『10歳からの見守りBOOK―西野流「ゆる親」のすすめ〈下〉だいじょうぶのタネをまこう。』(西野博之/ジャパンマシニスト社)

思春期の子どもの心のあり方と、その見守り方が分かりやすく書かれた本。物事を柔らかいニュアンスに変えてくれる「ゆるい」と、「親」を組み合わせた「ゆる親」という言葉には、子育てのプレッシャーを和らげる効果がありそうですよね。

「しょうもない話もちゃんと聞く。無駄に思える話にもときどき耳を傾ける」「きょうだいと比べない」などの具体的な方法を学べます。また、「反抗期は“自己主張期”」「ぼーっとする時間も子どもの成長には大切」など、新たな視点を得られ、肩の力も抜けるはず。いくつになっても親子は親子。何歳からでも親子関係はやり直せるという言葉に勇気づけられることでしょう。

「あなたにもそんな時期があったでしょう?」と、著者は読み手に寄り添うよう語りかけます。文字数も少なく読みやすいのもポイント。子どもと向き合うことに疲れた時にこそ、手に取りたい一冊です。

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『思春期男子の育て方』(小﨑恭弘/すばる舎)

元保育士・現大学准教授の著者による、思春期男子の解説本。著者は、三兄弟の長男であり、三男の父親でもあります。「男子のプロ」という異名を持つ著者が、「お母さん」には理解しにくい思春期男子特有の変化、叱り方やほめ方などをイラストや4コマ漫画を取り入れながら明快に解説しています。

「思春期男子の大きな特徴は、一言で言ってしまえば『アホ』なところ」「思春期男子はクレーマーのお客さんのようなもの」「3勝3敗4分けぐらいの心持ちで」。こうした例えは、頑張るお母さんの心を少しラクにしてくれることでしょう。思春期に突入した息子との関わり方に悩むお母さんにおすすめの本です。

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『10代の子って、なんでこうなの!?』(著:デイヴィッド・ウォルシュ 訳:佐々木千恵/草思社)

脳の構造やホルモンの観点から、思春期の子どもたちの行動や考え方にアプローチした本。「大脳」「ホルモン」「神経伝達物資」といった言葉がたびたび登場しますが、脳科学の知識がゼロでも解説が簡潔、明快なので「あのホルモンのせいで、子どもはあんな態度をとるのだ」と納得がいきます。

思春期・反抗期特有の言動や対応について、もう一歩踏み込んで深く理解したいという人におすすめ。高校で長年カウンセラーを務めた著者の経験、10代の子の心理、脳科学が絶妙にミックスされていて、子どもの自立にはどのような手助けが必要なのかを考える時に参考になる一冊です。

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(※現在、版元では品切れとなっております)

『7つの習慣ティーンズ【リニューアル版】』(ショーン・コヴィー/キングベアー出版)

『7つの習慣』の著者であるスティーブン・R・コヴィー氏の息子・ショーン氏が『7つの習慣』を10代向けアレンジして具体例とあわせて紹介する作品。思春期の悩みや不安を乗り越えていく手引書です。自身の目標を達成する、適切な仲間を見つける、親とのつながりを深めるにはどうすればよいのかなど、10代の子どもたちが身につけておくと、生きていきやすくなる習慣が書かれています。

例えば、第5の習慣「まず相手を理解してから、次に理解される」では、親とのコミュニケーションについても触れています。子どもは子どもの立場で親を理解しようとしていること、その習慣を身につけようとしていることを知ることができます。

子ども自身に向けて書かれた本ですが、親が子どもの気持ちをより深く理解するお役立ち本にもなることでしょう。

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親離れ、子離れしていくタイミング

親子でいい距離を築けない時期というのは、人それぞれ。親子関係に悩むのは、親離れ、子離れしていくタイミングなのかもしれません。

子どもが自立した大人になるために、どんなことに気をつければいいのか。どうすれば、上手に子離れできるのか。さまざまな気づきを本から得られることでしょう。

(選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2018年7月27日)に掲載されたものです。

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