話題作、名作、旅行記……時間のあるGWに読みたい本5選

本などから学ぶ

2018/04/27

もうすぐゴールデンウィーク。 家族や友達との外出もいいですが、まとまった時間があるからこそできることに挑戦してみてもいいかもしれません。例えば、読書。

そこで、いま話題の作品や一度は手にとってほしい名作、旅行をした気分になれる手記など、普段よりも少し時間のあるGWにこそおすすめの本を選んでみました。

『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(原田まりる/ダイヤモンド社)

主人公は京都市内の高校に通う17歳の女子高生、児嶋アリサ。恋愛や家族との関係に悩むアリサが京都の名所・哲学の道でニーチェと名乗る青年に出会い、「哲学」に触れながら自分の心と向き合っていく物語です。

本書では、キルケゴールやハイデガーなど6人の有名な哲学者がスマホアプリ開発者やカリスマ読者モデルなどの想像しやすい現代人として登場。まるで本当に彼らが現代の京都にいるかのように、哲学の話を交えながらストーリーは進んでいきます。アリサと同じようにSNSを見たり、ゲームをしたりしていれば、遠い存在だった哲学者も身近に感じられることでしょう。

哲学とは難しく考えるためのものではなく、すでに知っている物事を違う角度から見て、「そうか、そういうことだったんだ!」と理解を深めるものであることがわかることでしょう。

「人の目が気になって自分らしく生きられない」「自分が何をしたらいいのかわからない」といった悩みや自分との向き合い方、物事の捉え方を見つめなおすきっかけを与えてくれる一冊です。

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『かがみの孤城』(辻村深月/ポプラ社)

2018年本屋大賞にも選ばれた、いま話題の作品です。学校でのいじめをきっかけに居場所をなくし、家に閉じこもっていた中学1年生の”こころ”。ところがある日光り始めた部屋の鏡に、こころは突然吸い込まれます。鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そして、そこに集められたのはこころと似た境遇にある7人の中学生。9時から17時まで滞在が許されるその城で、彼らにはひとつの課題が出されます。猶予は1年。戸惑いながらも7人は、少しずつ心を通い合わせて、課題に挑んでいくのですが……。

思春期の揺れ動く心が痛いほど伝わってきます。いじめから救ってほしいと願っていたこころが、城で出会った仲間をいじめから救う側として、「生きていて!」と強く呼びかける姿に、読み終えた後は感動と勇気をもらうことでしょう。

子どもが大人に望むものだけでなく、「大人が子どもに対して思うこと」の両方が巧みに表現されていることも本書のポイント。子どもも大人もどうにかして関係を築こうとしているのだと気づかされます。もしも、あなたが学校に通えなくなったとしたら、あるいは学校に来なくなったクラスメートがいたら、迷わずこの本を手に取ってみてください。

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『ソロモンの偽証』(宮部みゆき/新潮社)

時間がある時こそ読みたい、1人の中学生の自殺をめぐる三部構成の超長編推理小説。ミステリー要素もありながら、生徒たちの表情や感情の描写が細かく、人間が持つきれいな部分と汚い部分がリアルに表現された読み応えある作品です。

『第I部 事件』で、物語はクラスの中でも目立たなかった不登校の生徒の遺体が、クリスマスの朝に学校の敷地内で発見されたところから始まります。自殺だと思われていた一件に“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届きます。マスコミによる過剰報道、学校、保護者の止まらない疑心暗鬼、連鎖する悪意。生徒たちは、ただ黙って見過ごすしかないのでしょうか。

『第II部 決意』は、第I部の胸苦しさから一転、生徒たち自らが動き出します。真実を見つけ出すために、学校内裁判をすることに。裁判官や弁護人、陪審員、検察官と次々に生徒の中で役割が決まっていきます。調べるうちに明らかになっていく真実と、新たに構築される信頼関係。登場人物一人ひとりの良いところが見えてきます。

『第III部 法廷部』では、学校内裁判がいよいよ開廷。弁護人が被告人に質問し厳しく糾弾したり、検事が弁護人を証人として召喚したり。一歩一歩真相に近づいていく様子が臨場感たっぷりに描写されています。

「実際に、こんな中学生はいないでしょ」と思うくらいに、登場人物たちは頭がよく語彙も豊富。そんな「ちょっと難しいレベルの言葉」も、作品を楽しんでいるうちに自然と身についていきそうです。

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『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス/早川書房)

32歳になっても幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードン。ある日パン屋で働く彼に、頭がよくなるという手術を受ける話が飛び込んできます。かしこくなって、みんなと仲良くなりたい。ただそれだけを願い、チャーリイは手術を受けます。

知能が向上していく中で彼が見たのは、知的障害者を取り巻く実情。さらに徐々に崩れていく知能に怯え、葛藤していくチャーリイ。先に同じ手術を受け高い知能を持ったアルジャーノンが次第に退化していく姿に、自らの将来を重ねていきます。

物語はチャーリイが書く経過報告書という形で進んでいきます。知能が変化していくチャーリイが書いた文章なので、はじめは誤字やひらがなが多く読みづらいのですが、物語が進むにつれて難しい漢字や言い回しが増えていきます。まるで実際にチャーリイがいるのではないか、と思わせられるほど。

訳者の小尾芙佐氏は、20代後半で感動の涙を、40代で同情の涙を、80代ではチャーリイは救われた、と安らかな涙を流したといいます。年齢を重ねるにつれて、仕事や生活が変わるにつれて、本書への印象は変わっていくのでしょう。10代のうちに読むと、また違った感情が生まれるはず。一度は読んでおきたい作品です。

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『行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅』(石田ゆうすけ/幻冬社)

大企業のサラリーマンをやめ、約7年かけて自転車世界一周の旅に出た若者の手記。

強盗に銃を突きつけられて身ぐるみはがされたり、アフリカでマラリアにかかったり、旅は山あり谷あり。それでも助けてくれる優しい人たちがいて、古代文明の遺跡を見て心を洗われる……。著者が、自転車旅行を目一杯楽しんでいる様子は爽快で、読み手を楽しませてくれます。

読み始めると止まらない、5大陸横断自転車の旅をバーチャル体験できる本です。読み終わった後には、まるで自分も旅に出て、ようやく帰ってきたような達成感が体中をめぐることでしょう。

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GWにこそ、新しい知識や豊かな思考を身につけよう

今回は、「学校生活になじめない」「どうやって物事を考えたらいいのだろう」という悩みに対してヒントを与えてくれる本から、GWだからこそチャレンジしたい名作、旅に出た気持ちになれる本までを紹介しました。

日頃、読書をする機会がない人にも、GWは読書をする時間を作りやすいタイミング。本から得た豊かな思考や感覚は、休暇明けの生活に刺激を与えてくれることでしょう。

本を片手によいGWを過ごしてくださいね。

(選書・執筆:水本このむ 編集:鬼頭佳代/ノオト)

※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2018年4月27日)に掲載されたものです。

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