【マンガ紹介】図書館に「ユルっと」おいでよ! 『バーナード嬢曰く。』

本などから学ぶ

2016/12/12

マンガ『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ/一迅社)は一風変わった「文芸ギャグマンガ」だ。「文芸」と聞いて「何となく難しそう」「敷居が高い」と感じる人にこそ、是非手に取ってもらいたい。

▼『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ/一迅社)既刊3巻(未完)
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学校の図書館に集う「本好き」の面々。彼ら全員、確かに「本好き」ではあるものの、本と向き合う態度はさまざまだ。たくさんの作品を読む人、一つの作品を繰り返し読む人はもちろん、本を読まない人(!)も読まない人なりに本を愛していたりする。

読書ってもっと気楽に楽しんでいいんじゃない? 図書館ってもっと気軽に行っていいんじゃない? と思わせてくれる作品だ。

「本を読まずに読書家ぶる」主人公と珍妙な面々

本を読まずして周囲から「読書家」だと思われることに、並々ならぬ熱意を持つ主人公の町田さわ子。そんなさわ子へのツッコミ役、遠藤君は少し前のベストセラーを見つけ出して、敢えて「今更」読むことを趣味としている。生粋のSF小説オタク、神林しおりは読みもしないのに読書家ぶるさわ子を毎度非難しつつも、さわ子にSF小説の事を聞かれるとついつい懇切丁寧に回答してしまう。そんな3人を観察する図書委員の長谷川スミカは遠藤君への想いを妄想の世界で暴走させている筋金入りのシャーロキアン(注:シャーロック・ホームズのファンの総称)。

みんな本が好きだけど、それぞれ楽しみ方はまったく違う。自由気ままに、気の赴くままに図書館に集まる個性的な面々を見ていると、不思議と自分もそこに加わってみたいという気持ちになる。

本の楽しみ方はもっといろいろあっていい

「本を読まずに本を楽しむ」というさわ子の態度は「本好き」の究極とも言えるかもしれない。なぜなら、全力で「知ったかぶり」をするためには逆説的にその本の事を「読む」以外の方法で知る必要があるからだ。

「読書家が読んでいそうな本はどれなのか?」「よりカッコイイタイトルの本はどれなのか?」「その本に出てくる名言は日常のどんなシーンで使うと他人から尊敬されるのか?」

こんな一見邪道な(?)観点から本を選ぶさわ子のおかげで、読者はその作品への興味を喚起されるから不思議だ。

本を読まなくても本が楽しめるのだとしたら、本を読んでいて多少分からないところがあるくらい、なんてことは無い。「読書」はもっと自由で良いのだとさわ子たちは気づかせてくれる。

教室にいるのが辛いとき…図書館に行ってみる?

さわ子たちを見ていると、図書館は本を読むためだけの場所ではないということに気づくだろう。

図書館では本を読まないで過ごしてもいい。ただひたすらボーッとしてもいいし、机に向かって絵を描いたり、周りの迷惑にならない程度になら誰かとおしゃべりしたりすることだって可能だ。そして、なにより一人でいられる自由がある。

休み時間に教室にいるのが辛いとき、学校の図書室に行ってみてはどうだろうか。学校にどうしても行きたくないときは、近所の公立図書館に行ってみるのも良いかもしれない。

図書館は誰に対しても開かれている。本に手を伸ばせば、いくらでも多様な世界を知ることができる。本と過ごす楽しみを知ることは、あなたの一生の宝になるはずだ。

(岩崎由美/マンガナイト+ノオト)

<記事で紹介したマンガ>

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※本記事はWebメディア「クリスクぷらす」(2016年12月12日)に掲載されたものです。

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