【2024年更新】高校進学率98.7% その裏側で起きていることとは

教育問題

2017/08/31

未就学期から大学卒業後の進路までを追った文科省の「学校基本調査」によれば、高校への進学率は98.7%となっています(2023年度)。

高校は義務教育ではありません。しかし進学率98.7%という数字から見れば、高校進学は当然のこととなっているのが現実と言えるでしょう。

しかし、高校の課程別・編入数など、関連する数字を細かく見ていくと、高い高校進学率とは別の側面が見えてきました。

全日制高校に進学する生徒が減少する一方で…

高校進学率は非常に高い水準にあるにも関わらず、少子化の影響からか、高校入学者は毎年約1万人ずつ減少、学校数も減少傾向にあります。
しかし、高校課程の1つである通信制高校の傾向は逆。
入学者数も学校数も右肩上がりなのです。

参考)文部科学省「学校基本調査」
参考)文部科学省「学校基本調査」

高校の退学者と不登校の数

文科省の調査によれば、2022年度高等学校における中途退学者数は43,401人(前年度38,928人)であり、中途退学者の割合は1.4%(前年度 1.2%)である。
ただしこの数字は年間に30日以上休んだ人の数。
ボーダーラインにいる生徒を含めれば、割合はもっと増えるでしょう。

なお、全日制高校では、出席日数が足りず単位が取得できなければ、留年や退学となります。
そのため退学者には不登校者が多く含まれると考えることができます。

中退となった学生の進路は?

少し前のデータになりますが、平成22年、内閣府が高校中退後2年以内の人に対し現状調査を行いました。
結果は、「働いている」が最も多く56%、そのあとに在学中31%、求職中14%と続きました。
「働いている」が半数以上を占めていますが、その内訳を見ると、家業や事業を行っている人が6%、正社員が17%、フリーター・パートが77%と、非正規雇用に従事する人が大半となっています。

参考)特集 高等学校中途退学者の意識と求められる支援
参考)特集 高等学校中途退学者の意識と求められる支援

在学中と答えた人は?

退学後に再び学業の道に進んだ31%はどうでしょうか。
在学中の内訳を見ると、最も多いのが通信制高校で50%。そのあとに全日・定時制高校が33%、大学が11%と続いています。

なお、高校への編入については、平成29年度に発表されたデータでは通信制が77%、定時制が14%となっています。
そのため実際は中退後に通信制高校へ編入する人の割合は、より多いと予想されます。

参考)「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」

また、大学へ進学している人が11%存在するが、大学進学のためには高校卒業資格か、高卒認定を取得する必要があります。
そこで、高卒認定についても調査すると、平成30年度は高卒認定を受けた人の55.4%が高校中退者であるということが分かりました。

98.7%が高校へ行くが、みんな同じ正解に向かうわけではない

98.7%という高校進学率の中には、通信制高校を選ぶ生徒もいれば、不登校や中退から通信制高校や高卒認定という新たな道を見つける人も含まれています。

どんな選択をしようとも、だれも正解はわからない。
ならば、何を選んでも間違いではないのかもしれません。
大事なのは、本人が持てる選択肢の中から納得して選べるかどうか…。

例えばそれが、「仕方なく」の選択だとしても、積極的な選択だとしても、自分に合う場所や方法に出会えるのであれば、その選択はきっと正解にできるはずです。

※2024年4月10日 一部データを最新の情報に変更いたしました

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この記事を書いたのは

通信制高校ナビ編集部